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看護への考え方

弘善会
矢木脳神経外科病院
〒537-0011
大阪市東成区
東今里2丁目12番13号
TEL:06-6978-2307(代表) 

患者さまにはひとりの人として、敬意を持って接してほしい

“私は人間”という言葉が胸に刺さる
私が病棟師長の頃の話です。3人の子どもを持つ40代の女性が、末期がんで入院されていました。ある日、訪室したとき「痛みはどうですか?」「苦しくないですか?」と、体を気遣う言葉をかけると、その人は顔をゆがめてこう訴えました。
「I am cancer ではない。I have a cancer なんです」。私自身がガンではなく、私はガンを患う人間なのだというその方の言葉は、私の胸に刺さりました。
そして、看護師は部屋に訪れるなり、みんな身体のことを真っ先に聞くけれど、それは人としての会話ではないのだということに、改めて気がついたのでした。

患者さまの生き方に焦点を当てて
それからというもの、患者さまとお話をするときは、まずは他愛のない会話をするように心がけました。すると、訪室時は暗い顔で調子が悪そうだと思っても、話していくと元気が出る方も多いことを実感し、そんな患者さまの様子から、“看護の力で回復を助ける”というのは、こんな小さな心がけから実現できるのだということに気が付きました。
「身体が辛いですか?」と尋ねるのではなく、会話の中から辛さを察するのが看護師の観察力です。また、会話の中からその人がどんな考えを持っておられるのか、どのように生きたいのか(死を迎えたいのか)を知ることから看護は始まります。
だから当院の看護は、患者さまの生き方に焦点を当てて、人として敬意を持って接することを強化していこうと考えています。

どんな状態でも患者さまに声は届いている
もうひとつ忘れられない出来事は、くも膜下出血で植物状態を免れないと診断されていた患者さまのことです。
看護学生の時に、「戦地で四肢と顔面(耳・眼・口)を失った患者を、だれ一人人間としてみなかったが、一人の看護師の観察力と声掛けで意思疎通ができた」という実話を基にした“ジョニーは戦場へ行った”という映画を観ていた私は、その方が入院されてきた時、何故かそのことを思い出しました。ご本人の反応はなくても、意識は鮮明にあるはずだと考え、ケアの度に、何をしているのか、常に話しかけるようにしていました。するとある時、その方の意識が戻ったのです。
意識が戻ったその方は、私に「これまでありがとう。話してくれた声は全部聞こえていたよ」と言ってくださいました。その言葉を聞いて胸が熱くなり、どんな状態でも看護師の声は患者さまに届いていることを実感しました。

敬意を持って声をかけ続ける姿勢を育てる
脳神経外科を専門とする当院は、自分の思いを伝えたくても伝えられない方が、たくさん入院されています。言葉は出なくても、看護師の声は届いています。そのことを意識して、常に人として看護の愛情を注ぎ、回復を願いながら、敬意を持って声をかけ続ける姿勢を育てていこうと考えています。



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