父親の介護に訪れた訪問看護師さんに魅了され、歯科衛生士から看護師の道に転身

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筧 恵子
私は大学を卒業後、歯科衛生士として歯科関連のメーカーで技術営業をしたり、クリニックで働いていました。大学生の頃から、父親が難病を発症し、家族である私たちは介護をすることになりました。父親は、コミュニケーションが取れない、食べるとむせる、吸引をしなければならない、動けないのでイライラするなど、家族が介護をする大変さを経験しました。その折に、訪問看護師さんとの出会いがありました。訪問看護師さんが来られるだけで、私たち家族はホッとしました。父親に対しても根拠をあげて納得できる説明をされ、私たちは本当に助かっていました。歯科衛生士としての仕事も楽しかったのですが、訪問看護師さんの姿を見て、口腔内だけでなく全身に関わる仕事、つまり看護師の仕事に魅力を感じました。この訪問看護師さんのように病んでいる人やその家族との関わり方にも魅力を感じました。歯科衛生士の視点やキャリアを活かしながら、看護師になってみたいと思い、この道に進むことにしました。


歯科衛生士のキャリアを活かして、患者さんのリハビリがスムーズに進むことを心掛けたい

私が看護をする上で大切にしていることは看護師である私が冷静で落ち着いている状態でいることです。病気をすると患者さんは自分がどうなっているのかがわからなくて、精神状態が混乱します。患者さんが安心できるように説明するためには、看護師が落ち着いていることが前提だと考えています。それと、特に意識しているのはリハビリをスムーズにしていくことです。例えば、入れ歯を使っている脳梗塞の患者さんを例に出すと、うまく食べることができない、かめない、のみ込めないなどの症状があります。入れ歯が合っていない状態でリハビリをしていると不具合が生じるので、リハビリが長引くことがあります。歯が揺れていたり、入れ歯が落ちていたりすると、早めに入れ歯の噛み合わせを修正して、リハビリが少しでもスムーズに進むようにしています。口腔ケアについては、看護師は毎日しているので歯科衛生士よりも慣れていると思いますが、口腔内の治療に関することは歯科衛生士のキャリアが生きているように思います。スタッフから口腔内のことについて相談を受けることが多いので、それは私のやりがいにもつながっています。


大学院で精神的ストレスが起こす口腔機能低下の研究をしつつ、看護を深めていきたい

この病院に就職したのは、脳神経外科の病態に関心があったこと、就職希望のメール連絡をするとすぐに返信があり、私を応援してくれるという嬉しいメッセージを頂いたことが理由です。今、大学院で精神的ストレスがかかった人の口腔機能低下の研究をしています。ちょうど仕事が大変だった時に、飲み込みづらい、左顔面が動きづらく痺れる、話しづらいといった症状になった経験があります。それで、専門の病院に行き、医師に相談しましたが、「気のせいでしょう」という診断をされ、愕然としたことがありました。私は、仕事が大変な時に、同じような症状になる人、治療をしている人がたくさんいることに対して問題意識を持ち、この研究をすることにしました。このことに関する背景や結びつきを明らかにしていくことにまずチャレンジしていきたいと思います。合わせて、脳疾患の勉強もしていきます。口は、話す、食べる、呼吸をするといった重要な機能があります。機能低下が生じても、これらを正常に機能していくようにするにはどうしたら良いかということを目標に研究に励みつつ、看護を深め、日々の看護に活かしていきたいと考えています。